2012年12月30日

2012年に「はまった」ランキング

「いいかい,人間ていうのはな,全員が本屋で新刊を買うわけじゃねぇんだ。ブックオフで中古本を買うこともあれば,図書館で借りることもある。だからな,キノベスや本屋大賞なんて,頼りにならないんだよ。時代を超えていい本と邂逅する,そのためには,もっと別の何かが必要なんだよ」――Nicaragua Punch

と,大上段に構えたとたん,己に薄ら寒さを感じ,すっと両手をおろす。

 本来なら,直近で読んだ本の読後感を記すのがこのブログだが,最近は不毛だ(ちなみに,つまらない作品は結局記事にしないから,カテゴリーの「はまり度1〜3」には1冊もない)。

 だから,2012年に特に「はまった」作品を改めてランキング形式で取り上げてみようかと思ったのだが・・・それって,寒いな。

 書店員でも書評家でもないのに,素人が素人独自のランキングを,ウンコみたいなブログで発表するなんて,寒すぎる!











 だれがウンコだ?!




 でも,冬期休暇に入って浮かれる時期だし,いいか。

 世間も,株価1万3,000円,為替100円/ドルなんて強気な予測が流れたりとか,オセロの中島が芸能活動を再開するとか,国税庁のイメージキャラをしていた坂東栄二が脱税していたとか,相当浮かれているみたいだし。



 というわけで,2012年に「はまり度8」以上をつけた作品,カモーン!


・藝人春秋 (水道橋博士)
・シャイロックの子供たち (池井戸 潤)
・幻海 (伊東 潤)
・月と詐欺師 (赤井 三尋)
・泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部 (酒見 賢一)
・笑い三年、泣き三月。 (木内 昇)
・謙信の軍配者 (富樫 倫太郎)
・傍聞き (長岡 弘樹)
・砂の王国 (荻原 浩)
・RING (百田 尚樹)
・みをつくし料理帖 (高田 郁)
・チア男子!! (朝井 リョウ)
・壱里島奇譚 (梶尾 真治)


 この中で,『泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部』のみ「はまり度9」,その他はすべて「はまり度8」だった。

 ただ,こうして一覧にしてみると,「はまり度」のブレを感じる。

 『砂の王国』と『チア男子!!』,そして『壱里島奇譚』は限りなく7に近い8だな。

 というわけでリストカット「きゃ〜,こんな年末にどうして〜」でなく,リストからカット(洒落にならない人がいたら,すみません)。


・藝人春秋 (水道橋博士)
・シャイロックの子供たち (池井戸 潤)
・幻海 (伊東 潤)
・月と詐欺師 (赤井 三尋)
・泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部 (酒見 賢一)
・笑い三年、泣き三月。 (木内 昇)
・謙信の軍配者 (富樫 倫太郎)
・傍聞き (長岡 弘樹)
・RING (百田 尚樹)
・みをつくし料理帖 (高田 郁)


 おおー,切りよく10冊の,錚々たる顔ぶれが揃ったな。

 ここから,まずは部門別にベスト3を発表していこう。


◆ビジネス部門

第1位 シャイロックの子供たち(池井戸潤)
第2位 笑い三年、泣き三月。(木内昇)
第3位 月と詐欺師(赤井三尋)



 ビジネスものと言えば,このメンツでは池井戸潤をおいてほかにいない。『シャイロックの子供たち』は,銀行員のエゴがむき出しになるさまが描かれており,内容的にも実におもしろかった。順当な1位だ。

 2位の『笑い三年、泣き三月』は,終戦後まもない東京に出てきた,才能はあるはずなのに芽が出ない漫才師の話。一旗揚げること,金を稼ぐことの難しさを教えてくれる。

 3位の『月と詐欺師』はその名の通り,詐欺師の話。天才詐欺師が新興財閥を相手に詐欺をしかける,痛快ストーリー。いくら成り上がっても,孤独じゃ人間は生きていけない。ワンマン経営者には必読の書だ。


◆お笑い部門

第1位 泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部(酒見賢一)
第2位 (該当なし)
第3位 (該当なし)



 お笑い部門は『泣き虫弱虫諸葛孔明』が圧勝!

 酒見賢一が描く劉備軍団は,狂気じみていて,あほで,実に愉快。

 それに翻弄される魏軍の連中も呉軍の連中も,読んでいて実におもしろい。嘘ではなく,声を上げて笑った。

 ちなみに,真面目に2位と3位の候補も考えたのだが,ほかに笑える本はなかった。なお,水道橋博士の『藝人春秋』は,笑える作品ではない。


◆歴史部門

第1位 謙信の軍配者(富樫倫太郎)
第2位 泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部(酒見賢一)
第3位 幻海(伊東潤)




 歴史部門は1位と2位で迷ったが,まだシリーズが完結していない『泣き虫弱虫諸葛孔明』に対し,『謙信の軍配者』は『早雲〜』,『信玄〜』ときた軍配者シリーズの最終作。あの,足利学校でともに学んだ3人が,それぞれ軍師として身を立て,ついに戦場で相見える。この興奮,そしてシリーズ最後ゆえの喪失感の大きさが決め手となり,『謙信の軍配者』を1位にした。

 3位の『幻海』は,秀吉の命によって黄金郷を探す者たちの,大ドンデン海戦記。戦闘シーンの読み応えが忘れられず,3位にランクイン。


◆泣ける部門

第1位 藝人春秋(水道橋博士)
第2位 謙信の軍配者(富樫倫太郎)
第3位 笑い三年、泣き三月。(木内昇)



 これも1位と2位で悩んだ。単純に涙の量なら『謙信の軍配者』だと思う。ただ,フィクションに起因する涙と,ノンフィクションに起因する涙では,正直言って後者のほうが重い。『藝人春秋』の「稲川淳二」の章を読んで流れた涙は,ずしっと重い涙だった。よって『藝人春秋』に軍配をあげた。

 『笑い三年、泣き三月。』も感動する作品。戦争孤児の「坊ちゃん」と,東京を離れる漫才師の別れのシーンは,なんとも切ない。つっぱる「坊ちゃん」と素直な「坊ちゃん」の子供らしさがまたいい。



 さて,いよいよ,総合部門の発表!

 2012年,ニカラグアパンチによる総合ベストスリーは・・・


◇総合部門

第1位 泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部(酒見賢一)

第2位 謙信の軍配者(富樫倫太郎)
第3位 藝人春秋(水道橋博士)



 やはり,やはりと言うべきだろう。唯一「はまり度9」を獲得した『泣き虫弱虫諸葛孔明』が,順当に総合1位!

 酒見賢一による,愛にあふれた三国志こき下ろし超長編作品『泣き虫弱虫諸葛孔明』は,テレビ,漫画,ほかの三国志小説,ゲーム等々,何かしらの形で「三国志」の世界に触れたことがある者なら,ぜひ読むべき1冊だ。

 現在,第参部まで出ているが,終わりはまだまだ先。これからも,劉備はどんちゃん騒ぎの主催者として君臨し続け,孔明は宇宙を語って相手を欺き,そして万夫不当,天下無双の殺人マシーンである張飛,関羽,趙雲は,その1000人力,3000人力の力を思う存分発揮し,呉と魏の常識的な武将を蹴散らしていくのだろう。

 ちなみに,この作品は1巻1巻がとても分厚い。でも,飽きがくることなく,さらに欲したくなるのだから,その中毒性たるや,ニコチンやアルコールに勝るとも劣らない。

 一方で,分厚い故に,第四部が出るまで相当待たないといけないのは必至だ。まだ1巻も読んだことがない人がうらやましい。


 総合2位は,富樫倫太郎による軍配者シリーズの最終作『謙信の軍配者』。3位は,水道橋博士の芸人ルポ『藝人春秋』。泣ける部門でも競った両作品だが,総合では逆の結果となった。

 私には,長編を好む傾向がある。「新規開拓しよう」と思って本屋に出向いたとき,選ぶ基準の1つは分厚さだ。もちろん,つまらない長編は苦痛なのだが,飽きることのない長編はその事実だけでよい作品と言える。

 そういった意味で,『早雲〜』,『信玄〜』,『謙信〜』の3部作で,長く楽しませてくれた軍配者シリーズは,私にとって垂涎のごちそうのようだった。『泣き虫弱虫諸葛孔明』に勝るとも劣らない,中毒性に満ちた作品である。

 それにしてもトガリンは,実にスケールの大きな作品を残すよなぁ。


 さて,先に長編好きと書いたが,それはすなわち,短編はなかなか手が伸びないということであり,エッセーに関してはほとんど興味すらない。しかし,それを蹴散らすかのように年末に現れたのが『藝人春秋』だった。

 ツイッターを見ていると,いろんな人がいろんな言葉で『藝人春秋』を絶賛しているが,私なりにこの作品の良さを表すなら,深夜のテレビ番組でたまに遭遇する,密着物の重くて深いドキュメンタリーを見ている感じだろうが。

 おすすめは「石倉三郎」,「ポール牧」,「稲川淳二」である。



 以上,ニカラグア・パンチによる,2012年に「はまった」本ランキングでした。


 最後に,整いました!

 「2012年に終わり」とかけまして

 「豊洲を出た有楽町線」とときます。

 その心は,

 「辰巳と続きます」

 ニカっちです!
  (ニカラグア・パンチ)


posted by ニカラグア・パンチ at 06:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 総合ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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I was born to be a book nerd. ―Nicaragua Punch―
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